山水康平特定拠点助教らの研究グループが作製
京都大学iPS細胞研究所(CiRA)は、CiRAの研究グループがiPS細胞から血液脳関門モデルを作製することに成功したと発表した。
作成に成功したのは、CiRA増殖分化機構研究部門・山水康平特定拠点助教らの研究グループ。
疾患メカニズム解明や創薬研究のため
血液脳関門は、脳に特異的な血管内皮細胞が周皮細胞・ニューロン・アストロサイトに囲まれるという構造になっている。脳血管内皮細胞どうしが密着結合することで、中枢神経系への分子の拡散を制限するバリア機能を果たしているのだ。しかしそのバリア機能こそが、中枢神経系疾患をターゲットとした治療候補薬の脳内への到達を、困難にしている。疾患メカニズム解明や創薬研究のため、血液脳関門のモデルの作製が求められていた。
モデル作製にあたり同研究グループは、ヒトiPS細胞より血管内皮細胞・周皮細胞・ニューロン・アストロサイトを作製・共培養。血液脳関門に特異的な輸送体やバリア機能を示す脳血管内皮細胞を作製した。そして、この脳血管内皮細胞を用いて、血液脳関門のモデルを作製している。
治療薬候補の開発段階でのスクリーニングに貢献
研究グループは、作製したiPS細胞由来血液脳関門モデルが、体内の血液脳関門と同様の物質の透過性を示すかを調査。結果、同モデルは薬の開発において、その血液脳関門を透過できるかを予測するのに有用であると結論づけている。
同グループは同モデルについて、血液脳関門のさらなる研究や、また治療薬候補の開発段階でのスクリーニングに貢献できると考えている。
(画像はプレスリリースより)

iPS細胞から血液脳関門モデルの作製に成功 - 京都大学iPS細胞研究所
http://www.cira.kyoto-u.ac.jp/