ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬
ノバルティス ファーマ株式会社は、2015年6月24日、経口ALK(Anaplastic lymphoma kinase:未分化リンパ腫キナーゼ)阻害剤であるセリチニブについて、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬として、日本国内における製造販売承認申請を行った。
日本では年間約7万人が肺がんにより亡くなっており、肺がん新規罹患患者数は年間約11万人である。
肺がんの中で、85%の割合を占めるとされているのが非小細胞肺がん(Non-small cell lung cancer:NSCLC)であり、そのうちALK遺伝子の変異(ALK融合遺伝子)が発現する、ALK融合遺伝子陽性(ALK+)のNSCLCの新規患者数は、年間約2千~5千人と推計される。
ALK+ NSCLC治療において、現在複数のALK阻害剤が主に治療に用いられているが、効果が十分ではない等の課題がある。また、リスク増加が示唆されている脳転移の治療には効果が不十分な場合もあり、新たな治療選択肢が期待されている。
各国で承認済み
セリチニブは、ALKの自己リン酸化を阻害することで、下流のシグナル伝達蛋白質のリン酸化を阻害してがん細胞の増殖を抑え、強力かつ選択的な経口ALK阻害剤である。
2013年3月に米食品医薬品局(FDA)より「画期的治療薬」の指定を受け、2014年4月に米国で、「クリゾチニブによる治療後に疾患が進行したクリゾチニブ不耐容のALK+ NSCLC」の治療薬として承認されたほか、アジアを含む各国でも承認され、2015年5月にはEUにおいても承認された。
日本では、2015年6月15日に厚生労働省より希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)として指定された。
セリチニブ臨床試験
既存のALK阻害剤の治療歴があるALK+ NSCLC患者と、ALK阻害剤未治療のALK+ NSCLC患者を対象とした第II相臨床試験において、セリチニブは統計学的に有意な奏効率が認められ、高い抗腫瘍効果を示した。
また同様に、脳転移を有するALK+ NSCLC患者においても、ALK阻害剤の治療歴の有無にかかわらず高い頭蓋内病変の奏効率を示し、脳転移に対するセリチニブの抗腫瘍効果が示唆された。

ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース
http://www.novartis.co.jp/news/2015/pr20150624.html