医薬品市場、2020年の先発品シェアは10%未満。依然として残る知的財産権保護問題
医療経済研究機構は平成26年度自主研究事業として実施した「新経済成長大国の医療保障制度に関する調査<インドの医療保障制度>」の調査報告を発表した。
その概要によると、近年のインドは2008年を除き、平均で9%を上回る高い実質GDP成長率を維持している。しかし、急速に経済成長を成し遂げている一方、一人当たりのGDPは2,000USドルにも満たない状況で、約2億7,000万人の貧困層が存在する状態だ。
医薬品市場は拡大傾向にあるが、依然として後発品のシェアが高く、今後もその傾向は継続すると予想されている。先発医薬品市場は2020年までに伸長するとされているが、シェアとしては総市場の10%未満にとどまる見込みだ。
また、知的財産権保護の脆弱性に関連して、医薬品の知的財産・特許関連の紛争が増加しており、特に欧米を中心とした研究開発型製薬企業にとって、この問題の解決は大きな課題とされている。
国民の25%が医療保険制度に加入。医療インフラ整備には多くの課題
世界銀行の推計によると、2010時点ではインド国民の25%が何らかの医療保険制度に加入している。公的医療保険は公務員と一部の民間企業の職員および家族が対象であるうえ、民間医療保険は保険料が高く、加入者は一部の富裕層に限られている状況で、医療保険制度のカバー率は低い。
また、医療インフラの整備に関しては、公的医療機関における医師や医薬品不足等が深刻な課題となっており、インド政府は医療へのアクセス改善に全力で取り組む姿勢を見せている。
薬事制度関連では、治療薬による死亡や副作用などへの対処として、2013年1月に中央医薬品監視局が臨床試験に関する新規制を発令、臨床試験規制が厳格化された。
さらに、医薬品価格管理令(2013)が発令され、現在は348の医薬品が医薬品価格局からの価格規制対象となっている。今後は対象がさらに拡大される可能性もあるとされており、成り行きが注目される。

医療経済研究機構プレスリリース
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