虚血肢が対象
株式会社アイロムホールディングスは、100%子会社のディナベック株式会社(以下、ディナベック)が、オーストラリアにて、虚血肢治療製剤(開発コード:DCV1-101)の臨床試験開始決定を発表した。
虚血肢
虚血肢は動脈硬化などにより下肢の血管の内肛が狭くなることで血流の流れが悪くなった結果、下肢疼痛、歩行困難から下肢の潰瘍や壊死にいたり、重篤化した場合には下肢切断にいたることもある。
細胞質遺伝子治療
DCV1-101は下肢に新しい血管を作らせることで、血管を再開させて治療していくという「血管新生遺伝子治療」。既に血管新生遺伝子治療は試みられているが、同剤は従来とは全く違う切り口による「細胞質遺伝子治療」だ。
同剤の治療に利用される治療用遺伝子、「塩基性繊維芽細胞増殖因子」FGF-2は患者の体内で自らが血管新生のために働くだけではなく、HGF(肝細胞増殖因子)やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)など血管新生に作用する他の遺伝子をバランス良く発現させ、正常機能を持つ血管を下肢に作り出すというもの。
この遺伝子を患者の体内に運び込むために使用されるセンダイウイルスベクターは、従来のベクターとは異なり、RNAとして機能し、細胞核に入らずに細胞内で治療用タンパク質を大量に作成。このことからセンダイウイルスベクターは染色体を傷つけずに、医薬品の役割を担うFGF-2タンパク質を安全に大量供給をすることが可能となる。
既に行われている前臨床研究において、同剤が下肢の血行を再開させ、虚血による下肢の脱落を有効に阻止することを確認している。
先端医療の臨床開発体制が整備されているオーストラリアで臨床試験を実施することで同剤の開発促進を目的とし、今回行われる臨床試験では安全性の確認と一部有効性に関するデータの取得も検討。オーストラリアには、白人・アジア人ともに虚血肢の患者が多く存在し、臨床試験の早期開始・進捗が期待されるという。

株式会社アイロムホールディングス ニュースリリース
http://www.irom-hd.co.jp/up_pdf/20150109090145_f.pdfディナベック株式会社
http://www.dnavec.co.jp/jp/