0.00001%混入細胞を検出
2016年1月15日、国立医薬品食品衛生研究所の佐藤陽治部長と日本医療研究開発機構(AMED)リサーチ・レジデントの草川森士博士を中心としたグループは、再生医療用の移植細胞製造中に混入又は発生するがん化のリスクを持つがん細胞を、超高感度に検出する方法「デジタル軟寒天コロニー形成試験法」の開発成功を発表した。
さらに、この試験法を用い、正常細胞中に1000万分の1の割合で混入するがん細胞を検出することに成功した。
背景
再生医療に用いられる、移植細胞の製造における大きな懸念の一つに、細胞サンプルが誤って混入するリスク(クロス・コンタミネーションのリスク)が存在し、中でも移植細胞の製造工程において、がん細胞の混入は、再生医療用移植細胞の安全性確保の上で重要な問題となる。
がん細胞の特性の一つである足場非依存性増殖を利用する軟寒天コロニー形成試験は、比較的短期間かつ簡便に評価することが可能な試験だが、検出感度は低く、正常細胞中に微量に混入させたがん細胞から形成されるコロニーを検出することは困難だった。
研究成果
従来の手法では、形成された1個のコロニーを精度良く検出することは不可能だったが、画像解析によるコロニー検出法の確立により、1個のコロニーを高精度に認識することが可能となった。さらに、画像解析のハイスループット化にも成功した。
この技術を応用して開発した、デジタル軟寒天コロニー形成試験により、従来の手法による検出感度と比較して1万倍の感度向上を実現させた。デジタル軟寒天コロニー形成試験は今後、再生医療用の移植細胞の品質・安全性の確保に大きく貢献できると期待される。
(画像は「AMED お知らせ」より)

国立研究開発法人 日本医療研究開発機構 お知らせ
http://www.amed.go.jp/news/20160115.html