根治が困難な難治性
東北大学大学院医学系研究科 分子内分泌学分野の研究グループは、2015年12月30日、難治性内分泌疾患のクッシング病の新規治療薬となりうる薬剤を開発したことを明らかにした。
クッシング病は、脳下垂体に下垂体腫瘍が発生して、脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が過剰となりステロイドホルモンが過剰産生される疾患である。ホルモンのバランスが崩れることで、肥満、高血圧、糖尿病、骨粗しょう症、筋力低下、多毛、免疫力低下、うつ状態などを発症する。
治療の選択肢では下垂体腫瘍の摘出が第一となり、治療をしないと心・血管病変や感染症のリスクを招く。手術で改善しない、術後に再発する、病変部位で手術ができないなどの難治患者の場合は薬物療法を行うが、有効な薬剤がないため、根治が難しい。
レチノイドX受容体アゴニストの有効性を検証
このたび、研究グループは、レチノイン酸(ビタミンA の代謝物)の受容体に対する薬剤、HX630がACTH産生腫瘍にACTH分泌抑制作用・細胞増殖抑制作用をもつことを明らかにした。
これにより、同剤が難治性クッシング病をターゲットとする新規治療薬としての可能性があることが示された。
(画像はプレスリリースより)

東北大学 プレスリリース
http://www.med.tohoku.ac.jp/uploads/151230pr.pdf