合成困難な医薬品や生体材料の開発に期待
東京大学大学院薬学系研究科・金井求教授、松永茂樹准教授(現:北海道大学大学院薬学研究院教授)らの研究グループは、特定の数・立体の水酸基を有するポリオールを選択的に合成する触媒反応の開発に成功した。
背景
水酸基は、水に溶けやすく生体適合性の良い官能基であるため、多くの医薬品や生体材料に複数の水酸基からなるポリオールと呼ばれる構造が存在し、薬理作用や材料としての機能に重要な役割を果たしている。
ポリオールを含有する様々な医薬品等の開発が世界規模で進められているが、ポリオール合成のためにアルデヒドに複数のエノラートを結合させるアルドール反応を行う際、アルデヒドに対して特定の数のエノラートを特定の方向から連続的に結合させることは非常に難しい。
結果として、様々な数・立体の水酸基を有するポリオールの生成物が混合物として得られてしまうため、これを解決する反応の開発が望まれていた。
研究成果
研究グループは、アルデヒドに対して特定の方向から結合させられる不斉分子を組み込んだエノラートを発生させる手法を見出し、これを用いることで、特定の数・立体の水酸基を有するポリオールを選択的に合成することに成功した。
また、2回目以降のエノラートと結合しやすいアルデヒド生成物を長時間維持することのできる添加剤と組み合わせて用いることにより、これまでは2連続が限界であったアルドール反応を、3連続、4連続で達成することに成功した。さらに、連続反応においても、1種類を高収率で選択的に得ることができた。
今後、今回開発された触媒反応を用いることにより、これまで合成が困難であった医薬品や新しい生体材料の開発につながるものと期待される。
(画像はニュースリリースより)

東京大学 ニュースリリース
http://www.f.u-tokyo.ac.jp/cgi/news/data/1449748002_1.pdf