第I相試験の中間報告
富士フイルム株式会社は、抗がん剤「FF-10501」が米国臨床第I相試験で、血液がん「再発・難治性の骨髄異形成症候群(MDS)および急性骨髄性白血病(AML)」の患者に対して高い忍容性を確認し、患者の一部には部分寛解と骨髄寛解が見られたことを、2015年12月8日に明らかにした。
同社は、2014年8月から、がん領域の研究・治療施設であるテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターで同剤の治験に取り組んでいる。
同センターは、今回の結果について世界最大の血液学会American Society of Hematologyの第57回年次総会で発表した。同社は、今後、高用量での忍容性評価を継続して行い、前期第II相の臨床試験に着手する計画である。
血液がんへの有効性に期待
抗がん剤「FF-10501」は、同社が初めて自社開発し、臨床試験を手がけた医薬候補品である。
同社は、製剤の継時安定性と解析技術により新たな作用メカニズムを発見し、薬効のあるバイオマーカーの候補を同定した。同剤には血液がん細胞の増殖を抑えると共に、正常な血球細胞の分化を促進する薬効が認められている。
MDSは、造血幹細胞の異常で血球が減少する難治性疾患で、高齢者の罹患が目立つ。推定患者数は米国に約6万人、日本に約1万1,000人とされる。
異常な造血幹細胞の割合がMDSより増加した疾患がAMLで、同疾患は正常な血球を作れないことに加え、異常を起こした細胞が骨髄外の組織に入り込み、障害を引き起こす可能性もある。推定患者数は米国に約2万5,000人、日本に約6,000人である。

富士フイルム株式会社 プレスリリース
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