世界初の経口薬実現に向けて
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科・横田隆徳教授、大阪大谷大学薬学部・村上正裕教授らの研究グループは、遺伝子治療に用いられる核酸医薬について、座薬としての剤型開発に成功し、世界初の核酸医薬の経口化を可能とする新規送達技術の開発に成功した。
背景
核酸医薬を用いた遺伝子治療は、今まで治療困難とされてきた様々な疾患、特にがんや神経疾患への臨床応用が強く期待されている。
しかし、現状において注射薬しか開発されておらず、長期投与が必要な患者に対する投与方法として限界が指摘されてきた。そのため、内服可能な核酸医薬の開発が必要であるとともに、標的臓器への特異的なデリバリーが重要な課題となっている。
研究成果
研究グループは、世界初の腸管投与可能な核酸医薬の開発を成功させた。この方法はビタミンE結合siRNAを脂肪酸などから構成される、脂質ナノ粒子に組み入れることによって可能となった。既存の大腸デリバリーの技術と組み合わせることで、経口投与可能な核酸医薬を用いた治療を可能にすると期待される。
また、食事中に摂取されるビタミンEが肝臓まで運ばれる経路を利用し、肝細胞に特異的に核酸をデリバリーすることが可能であるため、標的が肝細胞となる他の疾患にも応用できる。
さらに、現在注射薬しか開発されていない核酸医薬が座薬としての剤型開発の成功したことにより、臨床応用が可能になれば、患者の負担を大幅に軽減できる。
(画像はプレスリリースより)

東京医科歯科大学 プレスリリース
http://www.tmd.ac.jp/archive-tmdu/kouhou/20151124.pdf