独メルク社と米ファイザー社
独メルク社(以下、メルク)と米ファイザー社(以下、ファイザー)は、進行性の希少皮膚がんである転移性メルケル細胞がん(以下、MCC)の治療薬として開発中の完全ヒト抗PD-L1 IgG1モノクローナル抗体avelumabが、FDAからファストトラック指定を受けたことを発表した。
ファストトラック指定とは、重篤な疾患の治療及びいまだ解決されていない医療ニーズを満たすために、新たな治療薬の開発を促進し審査を迅速化することを目的として設けられたプロセスである。多くの場合短期間での薬剤承認、そして重要な新薬を必要とする人の元へ迅速に提供することが可能になる。
メルケル細胞がん
メルケル細胞がん(MCC)は、神経終末部近くの皮膚最表層にできるがん細胞に由来する、希少かつ進行性の疾患である。MCCは、皮膚の神経内分泌腫瘍又は索状がんとも呼ばれ、頭頸部、腕、脚、体幹など、日光にさらされることが多い部位の皮膚に発生する。
MCCは早期に転移する傾向があり、最初はリンパ節付近で増殖し、その後身体の遠隔臓器へ広がる。現在、MCCに対する治療としては、手術療法、放射線療法、化学療法が行われている。
Avelumab
Avelumabは抗PD-L1モノクローナル抗体であり、PD-L1 の作用を抑制することにより、T細胞と適応免疫系を活性化すると考えられている。Fc領域を維持することにより、avelumabは自然免疫系に働きかけ、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(ADCC) を誘発すると考えられる。
Avelumabは現在臨床開発段階にあり、米国、EU、カナダ、あるいはその他地域における使用は承認されていない。開発中の製品はいずれも安全性または有効性が確認されておらず、安全性と有効性の表示は規制当局によるデータの審査とラベル表示の承認を経て初めて可能となる。
(画像はプレスリリースより)

ファイザー プレスリリース
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2015/2015_11