新規経口分子標的治療薬 「AZD9291」
2015年11月6日、アストラゼネカ株式会社(以下、アストラゼネカ)は、EGFR T790M変異陽性の非小細胞肺がん治療薬「AZD9291」について、2015年10月29日に厚生労働省より優先審査品目に指定されたことを発表した。
日本における肺がん罹患数は133,500人(2015年予測)とされ、NSCLCは全肺がんの80~85%を占める。さらに、EGFR遺伝子変異陽性のNSCLC患者は40%を占めると推定される。
EGFR遺伝子変異陽性のNSCLCは、既存の上皮成長因子受容体チロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が有効な治療手段とされているが、多くの患者は治療開始1年~1年半ほどでEGFR-TKIに対する耐性が生じ、病状が進行する。その耐性が生じた患者の約60%において、EGFR T790M耐性変異という遺伝子変異が生じている。
「AZD9291」承認申請に向けて
「AZD9291」は、1日1回投与の新規経口分子標的治療薬であり、EGFR-TKIとは異なる新規の作用機序を有している。EGFR活性化変異型EGFRに加え、EGFR-TKI治療耐性に関連するT790M遺伝子変異陽性EGFRにも不可逆的に阻害する一方で、野生型EGFRに対しての阻害作用が弱くなるよう設計されている。
「AZD9291」は、「EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の使用中又は使用後に病勢進行した、EGFR T790M変異陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」を予定の適応として、アストラゼネカが2015年8月に国内における承認申請を行った薬剤である。
国外においては、2015年11月5日時点で「AZD9291」が承認された国はなく、米国、欧州で承認申請中である。FDAから画期的治療薬に、欧州医薬品評価委員会(CHMP)から迅速審査の指定を受けている。

アストラゼネカ プレスリリース
<a href=" http://www.astrazeneca.co.jp/media/pressrelease/Article/20151106" target="_blank"> http://www.astrazeneca.co.jp/media/pressrelease/Article/</a>