東京大学と共同で研究
SBIファーマ株式会社は、5-アミノレブリン酸と鉄の併用がマラリア原虫感染に対して持つ治療および予防の効果を確認したと、10月21日発刊の『Antimicrobial Agents and Chemotherapy』にて発表した。
同社は、SBIホールディングス株式会社の子会社。今回発表された研究は、東京大学と共同で実施されている。
マウスの60%に治療的効果
マラリアは、年間罹患者数と死亡者数の多さから、世界最大の感染症とされている。旧来の治療薬は副作用が強く、近年はこれら薬剤への耐性を獲得した原虫も多く出現。より安全なマラリア治療薬も開発・普及するも、これに対しても耐性を持つ原虫が広まり、新たなマラリア治療法の開発が緊急的に求められている。
東大大学院医学系研究科の北潔教授らとSBIファーマは、5-アミノレブリン酸とクエン酸第一鉄ナトリウムの併用が、最も病原性の強い熱帯熱マラリア原虫の生育阻害を誘導すると解明。強毒性のネズミマラリア原虫を致死的条件で感染させたマウスに対して、抗マラリア薬として使用したところ、60%に治療的効果が認められたという。
長期の免疫を獲得、抵抗性にも寄与
感染から治癒したマウスは、治癒後230日を超えても同原虫の再感染に抵抗を示し、当該マラリア原虫に対する長期の免疫を獲得していることも判明した。治癒後のマウスの血清中には、当該原虫に特異的な抗体の上昇が観察され、抵抗性にも寄与していると同社は考察している。
同社は、5-アミノレブリン酸と鉄の併用について、臨床応用に向けた開発が期待されるとしている。

マラリア原虫感染に対する5-アミノレブリン酸と鉄の併用における治療および予防の効果を確認 - SBIファーマ株式会社
http://www.sbipharma.co.jp/pdf/f