患者の負担を軽減する
シンバイオ製薬株式会社は、アメリカのThe Medicines Companyと、手術後の自己疼痛管理用医薬品IONSYS(以下「イオンシス」)の開発・商業化についてライセンス契約を締結し、日本での独占的開発権・販売権を取得したと、2015年10月2日に発表した。
手術後に自覚する痛みの程度により、患者自身が薬剤を投与するタイミングを調節する自己調節鎮痛(PCA、Patient Controlled Analgesia)という疼痛管理方法がある。
これに用いられるのが、腕や胸部に貼りつけたカード大のイオンシス。微弱な電流でイオン化した薬剤が経皮的に投与されるイオントフォレーシスの原理で、同剤上のボタンを押すと、一定量の合成麻薬性オピオイド鎮痛薬、フェンタニルが投与される仕組みである。
現在、PCAは電動ポンプなどを介した鎮痛注射剤の硬膜外投与や静脈内投与が行われている。一方、イオンシスは針を用いない非侵襲性の投与方法で患者の負担を軽減する上に、フェンタニルが静脈内注射と同等に急速に体内に吸収されるため、早急な鎮痛効果が期待できる。
国内では第3相臨床試験へ
アメリカでは、「手術後の入院期間中にオピオイドによる鎮痛を必要とする成人の短期術後急性疼痛管理」を適応症としてアメリカ食品医薬品局(FDA)に2015年4月30日に承認され、販売を開始している。また、欧州では2015年9月25日に承認勧告を受けており、まもなく販売が承認される見通し。
国内では健康成人に対して第1相臨床試験を終え、2016年からの第3相臨床試験を控えている。同社は2019年中の承認取得を視野に入れている。

シンバイオ製薬株式会社 プレスリリース
http://www.symbiopharma.com/news/20151005.pdf