プロプラノロール塩酸塩
2015年9月25日、マルホ株式会社(以下、マルホ)は、乳児血管腫治療剤(一般名:プロプラノロール塩酸塩)について、国内で実施した臨床試験結果及び海外のデータに基づき、厚生労働省に対して製造販売承認申請を行ったと発表した。
乳児血管腫と治療現状
乳児血管腫は鮮明な紅いあざが苺状に膨らむことが多いため、一般には苺状血管腫として知られている疾患である。乳幼児に最も高い頻度で発症する良性腫瘍で、日本人の発症率は1%前後と考えられている。
生後1~4週に血管腫が出現し、1歳頃に最大化して5~7歳頃までに90%以上が自然退縮する。多くは経過観察となるが、発症部位により生命及び機能に影響を及ぼす場合や、整容的な問題が生じると判断された場合には治療が必要となる。しかし、現在の治療法は効果や安全性の点で十分とは言えず、新たな治療法が望まれている。
プロプラノロール塩酸塩 製造販売承認申請
有効成分であるプロプラノロール塩酸塩は、高血圧、狭心症、不整脈などの治療で既に臨床の場で広く使用されている。
プロプラノロール塩酸塩の乳児血管腫に対する効果に関しては、2008年New England Journal of Medicineで報告されたことにより、Laboratoires Pierre Fabre Dermatologie(以下、PFD 社)が、小児用のシロップ剤として開発した。2014年に米国等で承認されており、現在では世界34か国で承認されている。
マルホは、2012年12月にPFD社との間で日本国内におけるプロプラノロール塩酸塩の開発及び販売の独占契約を締結し、2013年11月に厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受け、今回、乳児血管腫に対する国内初の治療薬として申請した。

マルホ ニュースリリース
http://www.maruho.co.jp/release/rvcck40000006wz6-att/