サイトカインレベルで解明
岡山大学大学院保健学研究科・佐藤康晴准教授、大野京太郎大学院生、大学院医歯薬学総合研究科・吉野正教授らの研究グループは、眼領域におけるIgG4関連疾患と悪性腫瘍の関連性をサイトカインレベルで初めて解明した。
IgG4関連疾患
IgG4関連疾患は全身の様々な臓器に腫瘤をつくる良性の病変である。特徴としては、腫瘤には免疫グロブリンの一種であるIgG4を産生するIgG4陽性細胞が異常増加し、更に患者血液中のIgG4濃度も上昇する。
近年、IgG4関連疾患の患者において、悪性腫瘍との合併頻度の高さが統計学的に指摘されているが、その関連性については明らかにされていなかった。
IgG4関連疾患は2001年に日本人によって初めて報告された比較的新しい疾患単位であり、世界的に注目されている疾患である。日本において、2015年7月1日から施行された難病法の難病にも指定されている。
研究成果
佐藤准教授らの研究グループは、眼領域に発症したIgG4関連疾患(IgG4-RD)、IgG4陽性細胞を多数併発する悪性リンパ腫(IgG4(+)MZL)、IgG4陽性細胞のない悪性リンパ腫(IgG4(-)MZL)を用いて、各病変部におけるサイトカイン(IL4、IL5、IL10、IL13、TGFb)のmRNAを定量解析した。
その結果、IgG4-RDによってIgG4(+)MZLを発生している可能性が強く示唆され、眼領域におけるIgG4関連疾患と悪性腫瘍の関連が明らかとなった。
今後、各臓器におけるIgG4関連疾患と悪性腫瘍との関連性の研究が進展することにより、IgG4関連疾患における、悪性腫瘍の発生メカニズム解明への糸口となることが期待される。
(画像はプレスリリースより)

岡山大学 プレスリリース
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id332.html