有用なTリンパ球を選択するプロセス
徳島大学疾患プロテオゲノム研究センターの高田健介講師と髙濵洋介教授らは、米国国立衛生研究所、米国ミネソタ大学、東京都医学総合研究所、東京大学、名古屋大学との共同研究で、生体防御の中心的役割を担うTリンパ球が胸腺で作られる過程で行われる、必須のプロセス「正の選択」によって、Tリンパ球の機能成熟が至適化されることを見いだした。
背景
一人一人異なるヒトの体内で異物を認識できる受容体をもった有用なTリンパ球だけが選択的に成熟を許可され、様々な異物に対して特異的に反応できる成熟Tリンパ球集団が生産される。
胸腺内で有用なTリンパ球を選択するプロセスとして、胸腺上皮細胞に依存する「正の選択」という現象が存在することは、古くから知られていたが、「正の選択」が実際どのように有用なTリンパ球を作り出すのか、その仕組みは今までよくわかっていなかった。
研究成果
今回の研究では、胸腺プロテアソーム依存性に胸腺上皮細胞に発現される自己ペプチドが、抗原受容体との相互作用において適度な親和性をもつだけでなく、幼若Tリンパ球から成熟Tリンパ球への分化に必要な細胞選別プロセスである「正の選択」によってTリンパ球の機能が至適化されることを見いだした。
また、「正の選択」が個々のTリンパ球の機能を至適化することで、免疫システムの形成にも重要であることが今回初めて明らかになった。これまで免疫学の大きな謎であった「Tリンパ球の正の選択」について、本質的な機構の一端と新たな意義が解明された。
免疫システムの根幹的な機構解明に大きな進展がもたらされたことで、感染症やアレルギー疾患などの免疫システムが関連する、難治性慢性疾患の根本的な治療法開発につながると期待される。
(画像はプレスリリースより)

徳島大学 プレスリリース
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