多発性骨髄腫に対する初のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害剤
ノバルティス ファーマ株式会社は2015年8月31日、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として承認済みの「ファリーダックカプセル10mg、同カプセル15mg」(一般名:パノビノスタット乳酸塩、以下「ファリーダック」)の販売開始を発表した。
多発性骨髄腫治療薬「ファリーダック」開発
また、多発性骨髄腫細胞ではヒストン脱アセチル化酵素(以下、HDAC)活性の異常な上昇が認められ、その活性化ががんを促進するプロセスにつながると報告されている。
「ファリーダック」は多発性骨髄腫治療薬としては初めてのHDAC阻害剤で、既存治療薬のボルテゾミブとの併用で、骨髄腫細胞の増殖阻害及び腫瘍細胞死の誘導といった抗腫瘍効果が期待できる。
再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象に行った国際共同第III相臨床試験において、「ファリーダック」と既存治療薬であるボルテゾミブ、デキサメタゾンを併用した場合、プラセボ併用群に比べて無増悪生存期間(PFS)が3.9か月有意に延長した。
また完全奏効(CR)及び完全奏効に近い奏効(nCR)の割合は「ファリーダック」併用群で有意に高いことも確認されている。なお、「ファリーダック」とボルテゾミブ及びデキサメタゾンとの3剤併用投与に伴う主な副作用は、血小板減少症、下痢、疲労、貧血、好中球減少症等だった。
多発性骨髄腫の発症
多発性骨髄腫は、治癒が困難な難治性の造血器腫瘍で、骨髄中の白血球の一種である形質細胞ががん化する疾患である。がん化した形質細胞(骨髄腫細胞)が、健康な血液の産生を妨げたり、骨を脆くしたりすることにより、貧血、腎障害、骨痛及び骨折、血液中のカルシウム値上昇などの症状が現れる。
日本における多発性骨髄腫の推定総患者数は約14,000人、年間死亡数は4,066人と報告されている。またこの疾患は、60歳以上で発症することが多く、40歳以下での発症はまれとされている。
(画像はプレスリリースより)

ノバルティス ファーマ プレスリリース
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