特発性肺線維症の新薬
日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社は、特発性肺線維症(IPF)の7年ぶりの新薬となるチロシンキナーゼ阻害剤/抗線維化剤「オフェブ(R)カプセル100mg、同カプセル150mg(以下、オフェブ)」を2015年8月31日に発売した。
IPFは肺組織が慢性かつ進行性の経過で瘢痕化し、呼吸機能が経時的に低下する肺線維化疾患である。組織が瘢痕化で肥厚、硬化するため、肺が酸素を取り込めず、血液に送り出すこともできなくなる。患者は息切れや咳の症状を示す他、通常の活動がしにくくなる場合もある。
世界中のIPF患者の割合は10万人に14~43人とされている。現在の治療選択肢は限定的である。
分子標的薬オフェブ
同社は肺線維症の発症機序に関わるとされている増殖因子受容体に着目し、IPF治療では初めての分子標的薬を開発した。特に、血小板由来増殖因子受容体、線維芽細胞増殖因子受容体、血管内皮増殖因子受容体を標的にしている。
第3相国際共同臨床試験(INPULSIS-1試験とINPULSIS-2試験)では、主要評価項目の努力肺活量の年間減少率を有意に抑制し、急性増悪の発現リスクを抑制した。
米国胸部学会(ATS)、欧州呼吸器学会議(ERS)、日本呼吸器学会(JRS)、南米胸部学会(ALAT)が合同策定した最新の国際治療ガイドライン「特発性肺線維症の治療」に、IPFの推奨治療薬として2015年7月に追加された。
同社は、IPFの治療は研究途上であるが、オフェブが新たな治療選択肢となることを期待している。

日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社 プレスリリース
http://www.boehringer-ingelheim.jp/