新たな治療薬開発への道を拓く
京都大学の星美奈子医学研究科特定准教授ら研究グループは、8月14日、アルツハイマー病の脳で起こる神経細胞死の新たなターゲット分子を発見したと発表した。
研究者はこの発見が、アルツハイマー病で起こる神経細胞死に対する新たな治療薬開発への道を拓くものとしている。
脳内から「ASPD」を単離
アルツハイマー病では、神経細胞自体が失われることで脳の高次機能が低下する。
同研究グループはこれまでに、神経細胞に対する毒性を持つとされてきた「Aβオリゴマー」の元となる小さいタンパク質「Aβ」が、約30個集まって球状構造を取ることにより、強い神経毒性を持つことを発見。
この新たな球状構造体を「アミロスフェロイド(以下「ASPD」)」と命名し、「ASPD」を選択的に認識する抗体を作製。この抗体を用い、アルツハイマー病患者脳内から「ASPD」を単離する方法を確立していた。
神経細胞死を抑制することが出来る
同研究グループは今回、「ASPD」のターゲット が、シナプスタンパク質のα3サブユニット(以下「NAKα3」)であることを初めて発見した。加えて、「ASPD」に結合する4アミノ酸のペプチドも発見。「ASPD」と「NAKα3」との相互作用を阻止し、神経細胞死を抑制することが出来ることも発見した。
ASPD結合ペプチドの分子サイズは低分子化合物に匹敵するほど小さく、アルツハイマー病で起こる神経細胞死に対する新たな治療薬開発への道を拓いたと、同研究グループはしている。
(画像はプレスリリースより)

アルツハイマー病で起こる神経細胞死の新たなターゲット分子の発見 -革新的治療法の開発に期待- - 京都大学
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/