1例目の被験者へ投与
タカラバイオ株式会社は、現在国内で実施している溶解性ウイルス「HF10」の第1相臨床試験について、1例目の被験者への投与を8月3日に行ったと発表した。
同試験は、同ウイルスについてメラノーマや皮膚の扁平上皮がんなどの固形がんを対象として実施されているもの。
がん細胞を死滅させる「HF10」
腫瘍溶解性ウイルスは、正常な細胞内ではほとんど増殖せず、がん細胞内において特異的に増殖するウイルス。
増殖によって直接的にがん細胞を破壊するため、がんの縮小が期待される。またその際、放出されたウイルスが周囲のがん細胞に感染すること、さらに破壊されたがん細胞の断片ががんに対する宿主の免疫を活性化することで、投与部位以外のがんも縮小することが期待されるという。
「HF10」は、単純ヘルペスウイルス1型の弱毒型自然変異株。正常細胞ではほとんど増殖しないが、がん細胞に感染すると増殖し、がん細胞を死滅させる抗がん作用を持つ。日本では、再生医療等製品として開発が進められている。
反復投与した際の安全性などの評価を行う
同社は平成22年11月、株式会社エムズサイエンスより「HF10」事業を取得。現在は国立がん研究センター中央病院にて、同ウイルスを反復投与した際の安全性などの評価を行う第1相臨床試験を進めている。
同試験は、平成28年3月期に終了する予定。同社は、平成30年度に同ウイルスの商業化を実現すべく、引き続き臨床開発を推進するとしている。

腫瘍溶解性ウイルスHF10の国内第Ⅰ相臨床試験において、第1例目の治療を開始 - タカラバイオ株式会社
http://www.takara-bio.co.jp/release/?p=2460