抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤
2015年7月30日、バイエル薬品株式会社(以下バイエル薬品)は、抗悪性腫瘍剤/キナーゼ阻害剤「ネクサバール錠200mg」(ソラフェニブトシル酸塩錠、以下ソラフェニブ)について、甲状腺癌治療薬として製造販売承認事項一部変更承認申請を行ったと発表した。
今回の申請は、「根治切除不能な分化型甲状腺癌」に甲状腺未分化癌および甲状腺髄様癌を追加し、甲状腺癌としての適応取得を目的としたものである。日本人患者を対象に実施したソラフェニブの国内第II相臨床試験の成績に基づいている。
甲状腺癌とその治療
分化型甲状腺癌は主に乳頭癌、濾胞癌、低分化癌を含み、全甲状腺癌の95%以上を占めるが、甲状腺未分化癌、甲状腺髄様癌はそれぞれ全体の1-2%と非常に稀な癌だ。
甲状腺髄様癌は分化型甲状腺癌と同様に進行が比較的緩やかであり、治療の第一選択肢は手術だが、進行すると予後不良となる。甲状腺未分化癌や進行した甲状腺髄様癌に対する治療選択肢は限られていた。
ソラフェニブの承認
ソラフェニブは2008年1月に「根治切除不能又は転移性の腎細胞癌」、2009年5月に「切除不能な肝細胞癌」、2014年6月に「根治切除不能な分化型甲状腺癌」の効能・効果で承認されている。
国外においては、肝細胞癌、腎細胞癌、分化型甲状腺癌の治療薬として、ネクサバールのブランド名で販売されており、国によって承認内容は異なるが、すべての適応症について100か国以上で承認されている。
非臨床試験においてソラフェニブは、腫瘍の増殖に重要な役割を果たす細胞増殖(腫瘍の成長)と、血管新生(腫瘍への血液供給)のそれぞれに関与すると考えられている、複数のキナーゼ(Raf キナーゼ、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR-B、KIT、FLT-3、RETなど)への作用が示された。

バイエル薬品 ニュースリリース
http://byl.bayer.co.jp/html/press_release/2015/