難聴の発症研究に役立つデータを収集
2015年7月15日、理化学研究所(理研)統合生命医科学研究センター・角田達彦医科学数理研究グループディレクター、宮冬樹リサーチアソシエイト及び、東京医療センター・松永達雄室長、務台英樹研究員らによる研究グループは、マウスの難聴進行抑制に関与する遺伝子情報の公開を発表した。
進行性・加齢性の難聴を発症する原因となる発症関連因子は、不明な点も多く、難聴進行の機構解明、難聴予防・治療法の開発が急務となっている。研究グループは、難聴の進行抑制に関与している遺伝子を探索することと、そのデータを広く他の研究者にも活用してもらうことを目的として、調査を行った。
研究概要
共同研究グループは以前、早期に難聴が進行するモデル動物、DBA/2J系統のマウスに対して、Lメチオニンとバルプロ酸の2化合物(エピジェネティクス作用薬剤)を同時に8週間投与し、難聴の進行が統計的に有意な抑制が行われることを発見していた。
エピジェネティクス作用薬剤を投与されて難聴が抑制されたマウス群と非投与マウス群の、全ゲノム中における遺伝子の発現状態を網羅的に調査した結果、難聴の進行抑制時に発現変動する遺伝子を明らかにすることに成功した。
共同研究グループは、この薬剤投与・非投与のマウスの全ゲノム遺伝子発現データを、米国国立衛生研究所(NIH)の国立生物工学情報センター(NCBI)のGene Expression Omnibus(GEO)に提供し、公開した。
今後への期待
今回の研究により、エピジェネティクス作用薬剤による難聴の進行抑制時に発現変動する遺伝子が網羅的に明らかになり、公開したデータによって、世界中の難聴を専門とする研究者による更なる詳細な解析で、難聴抑制に関わるメカニズムの解明、難聴の予防法や治療法の開発に期待できる。
(画像はプレスリリースより)

理化学研究所 プレスリリース
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