高齢者の失明の主な原因 治療薬として期待
2015年7月1日、参天製薬株式会社(以下、参天製薬)は、TRACON Pharmaceuticals,Inc.以下、TRACON社)より導入した、DE-122の滲出性加齢黄斑変性(wet AMD)を適応症とする治験許可申請を米国食品医薬品局(FDA)に行ったことを発表した。
DE-122は、TRACON社が保有する抗エンドグリン抗体TRC105の眼科疾患治療剤で、参天製薬は、2014年3月にTRC105の全世界の眼科領域における開発権をTRACON社より獲得した。
滲出性加齢黄斑変性
加齢黄斑変性(AMD)は中途失明の主な原因のひとつであり、萎縮型(dry)又は滲出型(wet)のいずれかに分類される。
滲出型の場合、網膜下で病的な新生血管が形成され、滲出液の漏出等により網膜の破壊や機能障害が起こり、視野の中心部に歪みや暗点がみられるようになる。更に症状が進行すると高度な視力障害に至る場合がある。
先進国において高齢者の失明の主な原因になっており、全世界で患者数は増加傾向にある。
エンドグリンの抗体TRC105
エンドグリン(CD105)は血管内皮細胞に存在するレセプター。病態時に発生する新たな血管形成プロセス(血管新生)に必須なタンパクである。TRC105はこのエンドグリンというタンパクに対する抗体であり、TRACON社は全く新しいタイプのファーストインクラス抗癌剤として臨床開発中だ。
TRACON社は、TRC105が現行の抗VEGF治療を補完する新たな治療薬となることを期待し、米国国立癌研究所(NCI)の癌治療評価プログラム(CTEP)を活用しつつ、現在各種癌患者を対象にした複数の第2相臨床試験を実施している。
同様に、TRC105は加齢黄斑変性に対しても抗VEGF治療を補完するものと期待されている。

参天製薬株式会社 ニュースリリース
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