テーラーメイド型がんペプチドワクチン
富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は、2015年7月6日、テーラーメイド型がんペプチドワクチン「ITK-1」が、前立腺がん患者を対象とする国内臨床第III相試験において、安全性に問題なく一定の効果がみられ、本試験の継続が認められたことを発表した。
「がん免疫療法」
ペプチドを抗原として投与し、患者が既に持っているがん細胞に対する免疫機能を特異的に刺激することで、速やかに免疫機能を活性化させ、病状悪化前にがん細胞を死滅が可能であることから、従来のがんワクチンを上回る効果が期待されている。
「がん免疫療法」は抗がん剤投与、外科手術、放射線照射などの、がんの一般的な治療法に次ぐ第4の治療法として注目されており、生体の持つ免疫機能を高め、がん細胞を死滅させる治療法である。
抗がん剤投与や放射線照射と比べて副作用が少なく、延命効果も期待できることから研究開発が活発化しており、一部のがんに対して、チェックポイント阻害薬による治療効果が証明されつつあるなど、「がん免疫療法」への関心が高まっている。
「ITK-1」と他のワクチンとの違い
「ITK-1」は、従来の1種類のペプチドを投与するワクチンとは異なり、多くのがんで発現しているペプチド12種の中から、血液検査により患者に最も適したペプチドを選択し組み合わせて投与する、テーラーメイド型のがんワクチンである。
富士フイルムは、平成25年8月から「ITK-1」の前立腺がん患者を対象とした国内臨床第III相試験を開始しており、現在、全国の医療機関で本試験を実施している。

富士フイルム ニュースリリース
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