専門誌「Circulation」で発表
国立循環器病研究センターは、心筋梗塞の原因のひとつである冠動脈塞栓症について、研究の成果を専門誌「Circulation」へ日本時間の平成27年6月26日に発表した。
この研究は、同センターの野口暉夫冠疾患科部長ら心臓血管内科グループが実施したもの。冠動脈塞栓症の原因は心房細動が最多であり、動脈硬化が原因の通常の心筋梗塞よりも予後が悪いことを解明したと発表している。
詳細な病態は不明だった冠動脈塞栓症
冠動脈塞栓症は心筋梗塞の重要な原因だが、通常の心筋梗塞との区別が難しい。また、明確な診断基準も存在しないため、これまで詳細な病態は不明のままだった。
同センターは、2001年1月から2013年12月までの間に入院した新規発症の急性心筋梗塞患者1776例を対象として、冠動脈塞栓症の頻度や特徴、また心事故の発生率について評価。結果、冠動脈塞栓症は全心筋梗塞の約3%であることと、それらの患者の73%に心房細動の症状がみられることが明らかになった。
十分な抗凝固療法が重要
この研究では、心房細動を有する冠動脈塞栓症を起こした患者が、血栓症予防目的の抗凝固薬(ワーファリン)を十分に投与されていないことも判明。また、冠動脈塞栓症患者の心事故発生率は通常の心筋梗塞患者と比べて9倍以上に及ぶことを世界で初めて報告するに至っている。
同センターは、心房細動による塞栓症は脳だけでなく心臓にも生じ、かつ再発率も高いとして、患者に対して十分な抗凝固療法が重要であるとしている。

冠動脈塞栓症による心筋梗塞患者への抗凝固剤の重要性 - 国立循環器病研究センター
http://www.ncvc.go.jp/pr/release/post_7.html