欧州の悪性軟部腫瘍患者に朗報
エーザイ株式会社は、2016年4月5日、欧州統括会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、抗がん剤「ハラヴェン」について、欧州医薬品庁・医薬品委員会より、「進行または転移性で、アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む化学療法前治療歴のある、手術不能な成人の脂肪肉腫」の承認勧告を受領したことを発表した。
悪性軟部腫瘍
悪性軟部腫瘍(軟部肉腫)は体の様々な軟部組織(脂肪、筋肉、神経、線維組織、血管など)で発生する悪性腫瘍の総称である。米国では約12,000人が、欧州では約29,000人が、毎年悪性軟部腫瘍と診断されており、日本での患者数は約4,000人とされている。
様々な組織で発生することから多彩な組織型が存在するが、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、悪性線維性組織球腫などが比較的頻度の高い組織型として知られている。悪性軟部腫瘍の治療は外科切除術が中心で、悪性度が高い場合は、化学療法や放射線療法を組み合わせた治療が行われるが、進行した場合の予後は悪い。
「ハラヴェン」の有効性
「ハラヴェン」は、ハリコンドリン系の微小管ダイナミクス阻害剤であり、従来の作用機序に加え最近の非臨床研究において、腫瘍の血流循環の改善、乳がん細胞の上皮細胞化の誘導、乳がん細胞の転移能の減少など、他にはない作用を有することが報告されている。
これまでに乳がんに係る適応で、日本、欧州、米州、アジアなど、約60か国で承認されており、悪性軟部腫瘍に係る適応については、2016年1月に米国で「脂肪肉腫」に対する適応で承認を取得し、2016年2月に日本で「悪性軟部腫瘍」の適応で承認を取得済みである。
今回の承認勧告は、「ハラヴェン」の2つ目の適応として承認を推奨するものであり、アントラサイクリン系抗がん剤治療を含む少なくとも2レジメンの前治療歴を有する進行または再発の悪性軟部腫瘍の患者を対象とした、「ハラヴェン」とダカルバジンの有効性および安全性を比較する臨床第III相試験の結果に基づいて行われた。

エーザイ株式会社 ニュースリリース
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