抗がん剤「FF-10502」
富士フイルム株式会社(以下、富士フイルム)は、2016年2月18日、抗がん剤「FF-10502」について、膵臓がんなどの固形がんを対象とした臨床第I相試験を米国で開始したことを明らかにした。
化学構造が独特な「FF-10502」は合成に多くのプロセスを要するため、コスト面から実用化が難しかった。この課題に対して、富士フイルムは化学合成力・設計力を駆使して同剤のプロセスの効率化に成功した。
抗がん剤としては、がん細胞の核内でDNAの合成を阻害し、増殖を抑制する働きをもつ。膵臓がんのマウスモデルでは既存薬剤より腫瘍組織への効果が顕著で、安全性も実証された上に、他の固形がん、肺がんや卵巣がん、膀胱がんについても患者由来の細胞による実験で有効とわかった。
世界トップレベルのがんセンター
臨床試験を実施する米国のテキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターは世界トップレベルの総合がんセンターで、スタッフは約2万人、治験参加患者数は年間1万人を超える。治験実施機能も世界最大級で、迅速な臨床試験、早期の承認取得を期待できる。
富士フイルムは2014年8月、同センターで抗がん剤「FF-10501」について、再発・難治性の血液がん患者を対象とした臨床第I相試験を開始した他、肺がんなどの固形がん患者を対象とする抗がん剤「FF-21101」の第I相試験を実施中である。

富士フイルム株式会社 ニュースリリース
http://www.fujifilm.co.jp/