ヒトラクトフェリンFc融合タンパク質 特許取得
2016年2月17日、東京工科大学応用生物学部・佐藤淳教授らの研究チームは、株式会社NRLファーマとの共同研究により、体内での安定性を向上させたヒトラクトフェリンFc融合タンパク質の特許取得を発表した。
背景
乳などに含まれるラクトフェリン(以下、LF)は、抗腫瘍、抗炎症、抗酸化など様々な生理活性を示すタンパク質として知られている。そのLFがもつ様々な生理活性を生かすために、ヒトLFの医薬品化が考えられてきた。
しかし、タンパク質医薬品が一般的に体内において低安定性であったり、十分な薬効が得られなかったりする問題が存在し、解決法として、タンパク質医薬品とIgG Fcとの融合技術が既に知られている。
実際に臨床でも使用されているが、外敵を排除する機能をもつ抗体の一部を使用することから、副作用を引き起こすという問題がある。
研究成果
今回の研究において、副作用を引き起こす可能性のある免疫細胞の活性化を消失させる目的で、ヒト抗体の一部の配列(ヒンジ領域)を欠失させたIgG Fcを作製し、ヒトLFとの融合タンパク質作製に成功した。
作製した融合タンパク質の機能を確認したところ、血中での安定性が大幅に向上し、副作用となる免疫細胞の活性化を示さないことが分かった。この技術を使って作製したヒトLF Fc融合タンパク質が認められたことで、今回の特許取得に至ったと考えられる。
今後、体内での安定性を向上させて増強した薬効と、副作用の少ない優れた安全性をもつ医薬品開発に希望がもたれる。
(画像はプレスリリースより)

東京工科大学 プレスリリース
http://www.teu.ac.jp/press/2016.html?id=51