腫瘍内遺伝子の不均一性と「中立進化」
九州大学は、2月19日、九州大学病院別府病院の教授らによって構成された研究グループが、大腸がんの進化原理を解明したと発表した。
同グループは、大腸がんにおける腫瘍内遺伝子の不均一性、そしてこの不均一性を生む「中立進化」を発見。この成果は、がんに対する新しい治療法や治療戦略を生み出す基盤になるという。
腫瘍内不均一性を持つ大腸がん
今回の研究を行ったのは、九州大学病院別府病院の三森功士教授、HPCI戦略プログラム分野1「予測する生命科学・医療および創薬基盤」プロジェクトの東京大学医科学研究所の新井田厚司助教と宮野悟教授、そして大阪大学大学院医学系研究科の森正樹教授らからなるグループ。九州大学大学院生の内龍太郎氏、大阪大学大学院生の高橋佑典氏が、重要な役割を果たしたという。
同グループは、大腸がんが極めて多様な遺伝子変異を持つ不均一な細胞集団から構成されていることを明らかにした。また、がん細胞の生存とは関係のない遺伝子変異の蓄積による「中立進化」よって、このような腫瘍内不均一性が生まれることも明らかにしている。
正常細胞には様々な遺伝子変異が起こっている
今回の研究から、人間が持つ正常細胞には加齢より様々な遺伝子変異が起こっていることが予測され、将来的に大腸がんの原因になることが示唆された。
がんの進化をさらに詳細に解明することが、がんの多様化を阻害する治療方法の発見、不均一性を持つ細胞集団に効果的な治療戦略を考える重要な基盤となると、同大学はしている。
(画像はプレスリリースより)

大腸がんの進化原理を解明!がんに対する予防と新しい治療法へ期待 - 九州大学
http://www.kyushu-u.ac.jp/pressrelease/