原因は幹細胞の脱落
東京医科歯科大学難治疾患研究所の松村寛行助教、毛利泰彰特任助教、西村栄美教授らの研究グループは、加齢に伴う薄毛や脱毛の原因が、幹細胞が老化して皮膚表面から脱落していくことによるもので、その結果、毛包が段階的にミニチュア化するため薄毛・脱毛が引き起こされることをつきとめた。
背景
老化の機構については古くから様々な説が提唱され、線虫や培養細胞、老化モデルマウスなどを用いた老化研究が盛んに行われてきた。しかし、生体内でどのような変化が起こっているのか、細胞運命や細胞動態の詳細は不明で、老化の仕組みについての解明は難しかった。
研究成果
研究チームは毛を生やす小器官である毛包に幹細胞システムが存在していることと、マウスにおいても加齢によって薄毛が見られることに注目し、マウスの毛包幹細胞の運命を生体内で長期にわたって追跡し、ヒトの頭皮の加齢変化と合わせて解析した。
その結果、毛包幹細胞は毛周期ごとに分裂するが、加齢に伴って自己複製しなくなり、毛をつくる細胞を生み出す代わりに、表皮の角化細胞へと運命を変化し、皮膚表面からフケなどとして脱落することがわかった。
これによって、毛包の矮小化により、生えてくる毛が細くなって失われるとともに、男性に特徴的な変化であると考えられてきた脱毛症が、生理的な加齢変化として進行することもわかった。
今回の研究成果は、老化の仕組みについて新しい視点を与えると同時に、脱毛症の治療法開発やその他の加齢関連疾患の治療へとつながることが期待できる。
(画像はプレスリリースより)

東京医科歯科大学 プレスリリース
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