再発及び難治性の多発性骨髄腫患者の治療薬として
2016年1月21日(米国現地時間)、Amgen(以下、アムジェン社)は、前治療歴がある再発及び難治性の多発性骨髄腫患者の治療薬として、Kyprolis(carfilzomib、以下、カルフィルゾミブ)静脈注射とデキサメタゾン、又は、レナリドミド及びデキサメタゾンとの併用療法について、医薬品承認事項変更申請がFDAによって承認されたことを発表した。
また、FDAは、1回以上の前治療歴がある再発及び難治性の多発性骨髄腫患者の治療薬として、カルフィルゾミブの単剤療法を承認した。
多発性骨髄腫
多発性骨髄腫は骨髄中にある形質細胞の異常により引き起こされる血液がんである。現在、多発性骨髄腫に対する治療法は複数存在するが、寛解と再発を繰り返し進行したり、難治性の病状に移行したりする場合も有る。また、長期的な治療による副作用等も報告されており、新たな治療薬の開発が期待されている。
カルフィルゾミブ
カルフィルゾミブは、高い選択性を示すプロテアソーム阻害剤であり、プロテアソームは、ポリユビキチン化されたタンパクを分解する作用を有し、細胞の増殖、分化及び機能的細胞死を制御している。カルフィルゾミブはプロテアソーム活性を阻害することにより、骨髄腫細胞の機能的細胞死を誘導する。
日本国内では、小野薬品工業が2010年9月に、オニキス社(アムジェン社の子会社)とライセンス契約を締結し、二つのプロテアソーム阻害剤(カルフィルゾミブ/注射剤及びoprozomib/経口剤)について、全がん腫を対象に国内で独占的に開発、商業化の権利を取得している。
小野薬品工業は2015年8月26日、「カルフィルゾミブ(ONO-7057)」について、再発又は難治性の多発性骨髄腫の治療薬として国内製造販売承認申請済みである。また、2015年8月20日、厚生労働省より、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定される効能・効果として希少疾病用医薬品に指定されている。

小野薬品工業株式会社 ニュースリリース
http://www.ono.co.jp/jpnw/PDF/n16_0122.pdf