東京大学が長期記憶形成時における遺伝子発現調節機構を発見
東京大学ではマウスを用いた実験によって脳の部位ごとに長期記憶を形成する際に遺伝子発現の調節を可能にしているメカニズムを解明したと、2014年10月2日に発表しました。今回の成果は、独立行政法人科学技術振興機構による戦略的創造研究推進事業によって得られたものです。
(画像はプレスリリースより)
今回の発見の概要について
脳には情報を処理する様々な部位があり、その一つが記憶に深く関わっています。そして記憶には一時記憶と長期記憶があり、記憶が長期的に持続するか否かは特定の遺伝子が発現するかどうかに関わっていることも明らかになっていました。
しかし、今までは脳のそれぞれの部位でどのようにこうした特定の遺伝子を読み出して、部位ごとに異なる機能を発揮できているのか、明らかではありませんでした。
今回の発見ではCREBと呼ばれる代表的な転写因子が持つ制御機構を解明することができ、長期の記憶モデルにおいては、CREBの補助因子が特異的な役割を持つことが明らかになったのです。このことは精神疾患や学習、記憶障害などの病気の解明だけではなく、創薬を含んだ治療法の開発に役立つことが期待されます。

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/