ジョージア大学、新薬を発表
現在、HIVの感染者は世界中で3,400万人にのぼる。世界保健機関によると、この数は毎年250万人ずつ増えている。
ジョージア大学が開発した新薬は、HIV感染の"引き返し限界点"として知られる、ヒトDNAと統合する前に攻撃する。
(画像はプレスリリースより)
ジョージア大学薬学部ジョージア・リサーチ・アライアンスの創薬分野における優秀研究員であるヴァス・ナイル氏は以下のように語った。
「研究室では、HIV感染の"引き返し限界点"をターゲットにした強力なHIVインテグラーゼ阻害薬を発見した。この阻害薬は多様なHIVに対し、非常に効果的である」(プレスリリースより)
HIVインテグラーゼはウイルスの複製に欠かせないものであり、またヒトには同様のものが存在しないため、副作用の危険も低く、薬剤治療の理想のターゲットであるとナイル氏は言う。
HIVとは?
HIVは細胞シグナルという、分子による細胞作用を調整・管理する情報伝達システムを使い、細胞に侵入、細胞生化学を乗っ取り、複製を始める。
HIV感染の初期段階では、人体の免疫システムが抗体を作り、ウイルスを攻撃する。CD4+細胞と呼ばれるヘルパーT細胞が免疫反応の際、免疫システムの他の細胞が保護機能を果たすよう調整するという中心的な役割を持つのだが、HIVは感染時、細胞の外面を認識、結合、侵入し、ヒトの生化学的機構を悪用して増殖する。
感染した細胞は破壊され、感染者の体内からCD4+細胞が減少する。結果、HIV感染者は病状が進行すると、免疫不全状態となる。
ナイル氏の研究室で開発された薬はウイルス酵素がゲノムを宿主細胞のDNAに挿入するのを防ぐ働きがある。
「HIVは複数の構造や亜類型をもつため、1つのワクチンが完全な免疫を与えることは難しいが、ウイルスの数がまだ少ない時点でウイルスの複製を抑止することによって、HIVをほぼ完全に無力化することは可能だ」(プレスリリースより)
この薬は現在、前臨床試験フェーズにある。

UGA researcher develops new medicine that attacks HIV before it integrates with human DNA
http://news.uga.edu/releases/article/