オメガ3脂肪酸の仕組みを解明
理化学研究所統合生命医科学研究センター、東京大学などの研究者からなる研究グループは、オメガ3脂肪酸が有している心臓保護作用に関わる代謝産物18-HEPEを同定したこと、そしてこの代謝産物を心不全のモデルマウスに投与したところ顕著な予防・治療効果が現れたと2014年7月21日に発表しました。この研究は科学技術振興機構のJST戦略的創造研究推進事業の一環で行われたものです。
オメガ3脂肪酸とは
オメガ3脂肪酸は魚油に多く含まれるドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)などが代表的で、これらはヒトを含む哺乳類が体内生成できない物質です。栄養学上は魚などを通じて食べ物から摂取することで心臓を保護する効果があると知られていましたが、具体的な作用メカニズムについては解明されていませんでした。
同研究グループはマクロファージが生成する脂肪酸代謝物がもつメタボローム解析を用いて、EPA由来の抗炎症性代謝物である18-HEPEを発見しました。そして、この18-HEPEを心不全モデルマウスに投与したところ、線維化や炎症が顕著に抑制されたのです。この研究成果により、今後心機能を改善するための治療法の改善に貢献することが期待されます。

科学技術振興機構 プレスリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20140721-2/index.html