抗EGFR抗体薬の治療効果を事前に判定
2014年6月19日、株式会社医学生物学研究所は、同社の子会社G&Gサイエンス株式会社と共同で、大腸がん治療に用いる抗EGFR抗体薬の投与判断に有用なRAS遺伝子変異を検出する試薬を開発し、EUでの販売で義務づけられる基準適合マーク(CEマーク)に登録し(製品名:MEBGEN RASKET KIT)、また日本において製造販売承認を申請したことを明らかにした。
抗EGFR抗体薬は大腸がんの治療に用いられる分子標的薬。EGFRは細胞増殖のスイッチの役割を果たす受容体タンパク質で、一部のがん細胞で多く発現している。抗EGFR抗体薬によりEGFRからのシグナルを遮断することでがん細胞の増殖を抑制し、細胞死へと誘導してがん細胞を死滅させる。しかし、シグナル伝達に関与する分子であるKRAS遺伝子エキソン2に変異が生じると、抗EGFR抗体薬の治療効果が示されなくなるため、投与前にこの変異を検出する検査が行われている。
これまで、同社ではこの検査のための体外診断用医薬品「MEBGENTM KRAS遺伝子変異検出キット」を開発し、発売していた。
複数の変異を同時に検出可能
最新の研究により、抗EGFR抗体薬の効果が現れない患者のなかには、KRAS遺伝子エキソン2には変異がないが、KRAS遺伝子エキソン3、4、NRAS遺伝子エキソン2、3、4の特定部位に変異があり、これらの変異の有無を調べることが抗EGFR抗体薬を用いた治療に有用であることが明らかにされた。
こうした状況のなか、同社はRAS遺伝子に関わる複数の変異を同時に検出することが可能な試薬を開発し、今回の発表につながった。同試薬により簡便に変異を検出することが可能となり、大腸がんの治療方針決定に必要な情報をより早く入手できるようになることが期待されている。

大腸がん治療薬抗EGFR抗体薬の投薬前検査に有用なRAS(KRASおよびNRAS)遺伝子変異を検出する検査試薬のCEマーク登録について(株式会社医学生物学研究所)
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