国内外のガイドラインに記載されるも「適応外使用」
炭酸脱水酵素抑制剤「ダイアモックス」(一般名アセタゾラミド)を用いた脳循環予備能評価の検査により健康被害が発生し、また販売元の注意喚起後も死亡例が報告されている。これをうけ、日本脳卒中協会は今般、「ダイアモックス注射用による重篤な副作用の発生について」と題した緊急メッセージを学会ホームページに掲載した。
ダイアモックスは本来、「緑内障、てんかん、肺気腫における呼吸性アシドーシスの改善、メニエル病およびメニエル症候群」を適応とする薬剤。しかし、20年以上にわたって脳循環予備能評価の検査薬として使用されており、その数は国内で年間2万件にのぼる。
検査薬としての意義は世界中で認知されており、国内外の診療ガイドラインに記載されている。しかし添付文書には検査に関する記載がなく、「適応外使用」に相当するものとして扱われてきた。
検査実施者に対する対応方針を要請
2014年6月2日、販売元の株式会社三和化学研究所より、20年間のあいだに急性心不全や肺水腫などの重篤な副作用が8件報告されており、そのうち6件が死亡にいたっていることが発表された。現在のところ因果関係は解明されていない。
この発表に関し、日本脳卒中学会、日本脳神経外科学会、日本神経学会、日本核医学会は医薬品医療機器総合機構の相談をうけて「アセタゾラミド(ダイアモックス)適正使用合同検討委員会」を組織し、今後の対応に関する検討を開始。結論にいたるまでは時間がかかるとの判断から、検査実施者に対する対応方針を要請することを決定し、下記の内容を発表した。
1)本検査の適応を十分に検討し、今回報告された重篤な副作用のリスクを考慮しても、治療方針を決定する上で本検査が必要不可欠と考えられる症例に限り、これを実施すること。
2)検査対象者には、本検査の必要性、本薬の副作用、「適応外使用」について十分な説明を行い、「同意書」を取得すること。
3)本検査実施時には、呼吸(酸素飽和度)モニター、心電図モニター等を実施し、検査中に変化が見られた場合には直ちに検査を中止し、呼吸確保や循環管理など必要な措置をとること。
(学会ホームページより引用)

ダイアモックス注射用による重篤な副作用の発生について(日本脳卒中学会)
http://www.jsts.gr.jp/img/diamox.pdf