微小管を阻害することで抗がん作用を発揮
2014年6月2日、エーザイ株式会社は、乳がん患者を対象とした抗がん剤ハラヴェンに関する臨床試験の統合解析結果を、第50回米国臨床腫瘍学会年次総会で発表したことを明らかにした。
ハラヴェン(一般名エリブリン)は、新たなメカニズムの非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤。細胞骨格である微小管の形成や伸長を阻害することで、抗がん作用を発揮する。これまでに50ヵ国以上で乳がんに対する承認を取得している。
HER2陰性例およびトリプルネガティブ例で全生存期間を延長
今回の結果は、治療歴のある進行または再発乳がん患者を、エリブリン群およびコントロール群(主治医選択治療を実施)に割り付けて比較した2つの非盲検無作為化臨床第III相試験(EMBRACE 試験および301 試験)の統合解析によるもので、全体で1800例を超えるデータを対象としている。
全生存期間に関して、全体解析、およびHER2陰性群、HER2陽性群、トリプルネガティブ(HER2、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体のいずれも陰性)群の集団別解析を行った。その結果、全体解析ではエリブリン群はコントロール群に比べ有意に全生存期間を延長した。集団別解析では、HER2陰性群およびトリプルネガティブ群ではエリブリンによる全生存期間の有意な延長がみられたが、HER2陽性例では有意な群間差は認められなかった。
HER2陰性は乳がん患者の85%にのぼると推定されている。同社は「今回の結果により、有効な治療選択肢の少ないHER2陰性例やトリプルネガティブ例におけるエリブリンの有用性が示唆された」としている。

第50回米国臨床腫瘍学会年次総会において「ハラヴェン」の転移性乳がんを対象とした1800症例を超える統合解析結果を発表―HER2陰性およびトリプルネガティブで全生存期間を顕著に延長―(エーザイ株式会社)
http://www.eisai.co.jp/news/news201431pdf.pdf