薬物治療による根本治療なし
2014年6月5日、生化学工業株式会社は、腰椎椎間板ヘルニア治療薬SI-6603(一般名コンドリアーゼ)の第III相試験結果を、韓国ソウルで開催中の国際腰痛学会で発表したことを明らかにした。
腰椎椎間板ヘルニアは、椎間板にある線維輪の膨張または断裂による髄核の脱出により脊椎周辺の神経が圧迫され、痛みやしびれが引き起こされる疾患。自然経過により軽快する場合も多いが、マッサージや鎮痛薬などによる保存的療法が行われることもある。保存的療法が無効または症状が激烈なケースでは、ヘルニア摘出術が実施され、薬物治療による根本治療はない。
SI-6603は髄核の構成成分グリコサミノグリカンを特異的に分解する酵素コンドリアーゼを利用した注射薬。椎間板内に直接投与することで、グリコサミノグリカンを分解して髄核を縮小させ、神経への圧迫を減少させることが期待されている。2014年1月に厚生労働省へ製造販売承認申請を行い、現在審査が進行している。
患者の早期社会復帰への貢献に期待
今回の試験は腰椎椎間板ヘルニア患者163例を対象とした多施設共同プラセボ対照二重盲検化比較試験。対象患者をSI-6603群とプラセボ群に割り付け、投与後13週の時点での、過去24時間における最悪時下肢痛のベースラインからの変化量を比較した。
その結果、SI-6603群ではプラセボ群よりも顕著に下肢痛が改善し、身体機能およびQOLも有意に向上した。投与後52週までの背部痛や椎間板高低下などの有害事象の発症頻度はSI-6603群で高かったが、忍容性は良好であった。
責任研究者の千葉一裕氏(北里大学北里研究所病院)は下記のようにコメントしている。
「コンドリアーゼの下肢痛改善効果はヘルニア摘出術と同程度で、大きな副作用も生じずに忍容性も良好であった。コンドリアーゼ投与は、手術に比べ手技が簡便かつ低侵襲であることから患者の早期社会復帰につながり、医療費や労働機会損失による経済的負担軽減にも貢献できると考えられた。コンドリアーゼは、保存療法無効の腰椎椎間板ヘルニア患者に対する有力な新規治療法となり得る」
(プレスリリースより引用)

腰椎椎間板ヘルニアを適応症とするSI-6603 の日本における第Ⅲ相臨床試験結果の発表に関するお知らせ(生化学工業株式会社)
http://ir.seikagaku.co.jp/ja/news/news-1971304623226258281/