ヘルペスウイルスの変異株を用いたがんウイルス療法
タカラバイオ株式会社は、2014年5月20日、がん治療薬HF10の第I相試験結果を、米国臨床腫瘍学会にて発表することを明らかにした。
新たながん治療法のひとつに、ウイルスを用いた「がんウイルス療法」があげられる。がん細胞だけで増殖するように改変したウイルスを注入することで、ウイルスががん細胞を破壊しながら増殖するという治療法で、国内外で研究が進められている。
HF10は単純ヘルペスウイルス1型の弱毒化株で、がん局所に注入することで抗がん作用を発揮。がんウイルス療法に用いられるウイルスの多くは、遺伝子の組換えや外来遺伝子の挿入が行われているが、HF10は遺伝子工学的改変を行っていない自然変異型のウイルスという特徴がある。
このウイルスは名古屋大学の西山幸廣名誉教授により発見され、同社が商用化の権利を保有。米国において固形がんを対象とした第I相試験、国内では固形がんおよび膵がんに対する臨床研究が進められている。
平成30年度の商業化を目指す
今回発表するのは、米国での第I相試験の結果。標準治療が無効で、皮膚・表在性病変を有する固形がん患者を対象として、HF10の体内動態および腫瘍縮小効果を評価した。発表は5月31日の予定。
同社は、2014年4月、米国食品医薬品局に臨床試験実施申請資料を提出しており、現在、第II相試験の準備が進行中。平成30年度の商業化を目指すとしている。

米国で実施したがん治療薬HF10の第Ⅰ相臨床試験の結果を発表します(タカラバイオ株式会社)
https://www.takara-bio.co.jp/medi/index.html#Topics