さらなる早期の転移性乳がんへ
エーザイ株式会社は、英国子会社エーザイ・ヨーロッパ・リミテッドが、抗がん剤「ハラヴェン(R)」(一般名:エリブリンメシル酸塩)に関して、欧州医薬品庁(EMA)の医薬品委員会(CHMP)より、適応拡大の承認勧告を受領したと発表した。
適応拡大の対象は、「1レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん(術後又は再発後にアントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤による治療歴を有すること)」だ。
ハラヴェン(R)は、現在EUでは、アントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む2レジメン以上の前治療歴のある局所進行性・転移性乳がんの適応で承認を取得し、販売されている。
今回の承認勧告は、現在の適応は、前治療歴が2レジメン以上に限定されているが、より過去の治療歴の少ない転移性乳がん患者へ適応拡大を推奨するものとなる。
最大規模の試験結果による
305試験:EMBRACE試験はアントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤を含む2~5レジメンの前治療歴のある局所進行性・転移性乳がん患者を対象とした主治医が選択した薬との比較臨床第3相試験(305試験:EMBRACE試験)。主治医選択薬と比較し、全生存期間において、2.5カ月間延長が確認された。
301試験は、過去にアントラサイクリン系およびタキサン系抗がん剤による治療経験がある局所進行性・転移性乳がんの患者を対象としたカペシタビンとの比較臨床第3相試験(301試験)。ハラヴェン(R)投与群は、カペシタビン投与群と比較して、統計学的に確かな有意性はみられなかったが、OS(全生存期間)を延長する傾向を示した。
これらの試験は、計1800症例を超えるもので乳がんを対象とした臨床試験では最大規模であり、これらの結果に基づき今夏の勧告がなされた。
ハラヴェン
ハラヴェン(R)は、新たな作用機序を持つ非タキサン系微小管ダイナミクス阻害剤。海洋生物クロイソカイメンから抽出されたハリコンドリン類の全合成類縁化合物であり、伸長(重合)のみを阻害し、さらにチューブリン単量体を微小管形成とは関係のない凝集体に変化させる作用がある。
ハラヴェン(R)は、乳がんに対し2010年11月に最初の承認を米国で取得して以来、欧州、日本、シンガポール、スイス等、50カ国以上で承認を取得している。日本では、「手術不能又は再発乳がん」を効能・効果として承認され、2011年7月より発売。また、前治療歴の少ない乳がん、および軟部肉腫、非小細胞肺がんについても開発中だ。

エーザイ株式会社ニュースリリース
http://www.eisai.co.jp/news/news201426.html