新規作用機序を有するライソシンを東京大学の研究者が発見
東京大学は、新規作用機序を有する抗生物質ライソシンを発見したことを2014年12月9日に発表した。今回の発見は東京大学大学院薬学系研究科の研究者を中心とするグループによるものだ。
今回の発表の概要とは
研究グループは国内で産業用の昆虫として用いられているカイコに細菌を感染させるという実験手法を利用。これによって新規抗生物質ライソシンを発見。また、ライソシンEによって多剤耐性黄色ブドウ球菌の細胞膜を破壊するという作用機序を解析。
またライソシンEは短時間で優れた殺菌性を示すことが明らかとなった。この物質は毒性も低く、治療効果が優れていることから、多剤耐性黄色ブドウ球菌に対する新たな治療薬として応用できる可能性を秘めている。
高齢化社会が到来し、細菌感染症を原因として亡くなる患者が増えており、とりわけ多剤耐性菌という既存の治療薬が効かない感染症が原因となっている場合も多く、問題が深刻化しているのが現状だ。しかしながら、治療効果がある新しい抗生物質の発見確率が低下しており、開発に対する巨額な費用がかかることなどもあり、市場に新薬が提供されるケースが限られている。

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