医薬品の心臓に対する不整脈などの副作用予測に利用するために
NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は10月30日、医薬品の心臓に対する不整脈などの副作用予測に利用するための、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手することを発表した。
プロジェクト名は、「国際基準化に向けた心毒性評価法確立のための細胞製造・計測技術の開発」で総事業費は約2億円。
なお、この事業は、「科学技術イノベーション創造推進費」の一部から健康・医療戦略推進本部の決定に基づき経済産業省に配分された調整費を用いて行われる。
プロジェクト着手への経緯
1000億円もの費用がかかるとされている新薬開発コストの大半を占める臨床段階において、心臓に対する副作用で開発中止となるケースは約20%と一番多い。
そのため、非臨床段階で心臓に対する副作用を正確に予測することが重要視されている。非臨床段階で心臓に対する副作用を正確に予想することによって、新薬開発にかかるコストの削減にもつながるとされている。NEDOは、このような状況において、ヒトiPS細胞由来心筋細胞の大量製造技術の開発に着手することとなった。
プロジェクト概要
このプロジェクトでは、京都大学iPS細胞研究所の山下潤教授が開発した、iPS細胞から心筋細胞への分化誘導技術をベースとした新安全性評価試験法で要求される品質を兼ね備え、かつ製造ロットの差がない心筋細胞の大量製造を可能とする製造工程を、タカラバイオ株式会社が確立。
その際、国立医薬品食品衛生研究所を中心とするグループと連携して同グループに心筋細胞の評価を依頼し、そのフィードバックによって更なる改善を行うというものである。
タカラバイオは、同プロジェクトで開発した成果をもとに、2015年度中に心筋細胞の商用製造を目指す。
(画像はニュースリリースより)

独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 ニュースリリース
http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100326.html