イノベーションに貢献
世界トップクラスの大規模で高性能なスーパーコンピューター「京」が、創薬の世界を変えようとしている。グランフロント大阪にオフィスを構えるNPO法人「バイオグリッドセンター関西」が、「京」を利用し薬品をつくる「インシリコ創薬」プロジェクトに、大学や製薬企業と取り組んでいる。
医薬品を開発するためにはこれまで、長い年月と巨額の費用がかかっていた。これに対するイノベーションに「京」が大きく貢献しており、インシリコ創薬で効率化する研究が進められている。
11社の製薬企業が参画
バイオグリッドセンター関西は2011年ごろから、スーパーコンピューターとバイオ分野の融合に着手。「京」が神戸にできることから、創薬分野での「京」の活用を打ち出した。
京都大学が「京」を利用して開発したIT創薬と製薬会社とを繫ぐ架け橋となるのがバイオグリッドセンター関西。インシリコ創薬基盤構築のプロジェクトには、11社の製薬企業が参画している。
「京」を使うことにより、これまでできなかった計算で、高精度でなおかつ、さまざまな病気のタンパク質に効く薬を効率的につくる方法論開発を行っている。
京都大学が取り組むのは、約600種類の病気に関連するタンパク質と、薬の候補となる約3000万種類の化合物の結合可能性についての計算。さらに、厳密なシミュレーションで予測精度を向上させる。将来、「京」の性能を上回るスーパーコンピューターが出現すれば、さらに革新的な医薬品開発への貢献が期待される。
理化学研究所計算科学研究機構の「京」は、特定先端大型研究施設の共用の促進に関する法律で定められた共用施設で、国内外の研究者らが広く利用できる。性能は、10ペタ(1京回/1秒間)の計算速度を世界で初めて突破した。
汎用目的のスーパーコンピューターとして、世界トップレベルの低消費電力を実現。さらに故障しにくい設計で、故障した場合でもシステム全体を止めずに修理が可能となっている。

バイオグリッドセンター関西
http://www.biogrid.jp/理化学研究所計算科学研究機構
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