4月16日までに21人が死亡、因果関係は不明
統合失調症治療薬「ゼプリオン水懸筋注」により複数の死亡例が報告されていることをうけ、厚生労働省は4月17日、製造販売元のヤンセンファーマ株式会社に対し、添付文書の改訂と安全性速報(ブルーレター)による注意喚起を行うよう指示したと発表した。
ゼプリオン(一般名パリペリドンパルミチン酸エステル)は統合失調症の治療薬で、“統合失調症の急性期症状に対する改善効果および長期にわたる効果の持続”があるとされている。2013年11月に販売が開始され、これまでに10,900人の患者に使用されたと推定されるが、2014年4月16日までに、30~70代の男女21例の死亡例が報告された。現時点では本剤と死亡の因果関係は不明。
症状が不安定な患者には使用せず、リスペリドンからの切り替えには注意が必要
厚生労働省は4月4日、適正な使用を注意喚起するために医療機関への文書を配布するようヤンセンファーマに指示したが、4月17日に開催された「薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会」での検討結果をうけ、添付文書の改訂とブルーレターの発出を決定した。
医療関係者への注意点は下記の3つ。
・急激な精神興奮等の治療や複数の抗精神病薬の併用を必要とするような不安定な患者には使用しない
・リスペリドン持効性懸濁注射液から本剤への切り替えにあたっては、過量投与にならないよう、用法・用量に注意する
・パリペリドン又は類薬であるリスペリドンでの治療経験がない場合は、まず、一定期間経口剤を投与して症状が安定していることを確認した後、これら経口剤を併用せずに本剤の投与を開始する
(プレスリリースより引用)
この件に関し、ヤンセンファーマは自社ホームページに「ゼプリオンに関する重要なお知らせ」を掲載。医療関係者に上記の注意喚起を行うとともに、患者とその家族に対しては、ゼプリオンの使用後に異常が認められたらすぐに医療機関を受診するよう呼びかけている。

統合失調症治療薬「ゼプリオン水懸筋注」に関する安全性速報(ブルーレター)の発出について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000043861.html医療関係者の皆様へ(ヤンセンファーマ株式会社)
http://www.janssen.co.jp/system/files/患者様とご家族の皆様へ(ヤンセンファーマ株式会社)
http://www.janssen.co.jp/system/files/