ホルモン療法抵抗性の前立腺がんを追加適応に
2014年4月3日、アステラス製薬株式会社は、経口アンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミドについて、化学療法施行歴のない転移性去勢抵抗性前立腺がんを追加適応として、欧州医薬品庁に医薬品承認事項変更申請を提出したと発表した。
前立腺がんは、男性ホルモンであるアンドロゲンにより増殖する疾患である。その初期治療として、アンドロゲン産生器官である精巣の摘出手術(外科的去勢術)や、アンドロゲン受容体を阻害し、アンドロゲンの作用を抑制するホルモン療法(内科的去勢術)が行われるが、現在ではホルモン療法が選択されることが多い。
ホルモン療法は、長期間にわたり継続すると治療抵抗性のがん細胞が増加し、治療効果が消失するという問題がある。こうした状態を「去勢抵抗性前立腺がん」と呼んでおり、新たな治療法の開発が急がれている。
今後、化学療法歴のない患者も視野に
エンザルタミドは、同社と米国メディベーション社が共同で開発・商業化を進めている薬剤。
化学療法による治療歴のない患者については、プラセボ対照試験であるPREVAIL試験が実施された。標準治療施行下の1700例をエンザルタミド群とプラセボ群に割り付け、全生存期間および画像診断による無増悪生存期間を比較した。その結果、エンザルタミド群ではプラセボ群に比べ、全生存期間が有意に延長し、画像診断による増悪または死亡のリスクが81%低下した。
今回の申請は、この試験結果に基づいたもの。欧州以外に、2014年3月に米国にも追加適応症を申請している。
同社は、「今後、化学療法施行歴のない転移性前立腺がんにも新たな治療選択肢を提供できることを期待している」としている。

経口アンドロゲン受容体阻害剤エンザルタミド 欧州での追加適応申請に関するお知らせ(アステラス製薬株式会社)
http://www.astellas.com/jp/corporate/news/detail/post-211.html