酵素シアリダーゼの働きを抑える化合物
2014年3月18日、岡山大学は、イギリスの科学誌『Nature Communications』にて同大学大学院環境生命科学研究科の清田洋正教授らによる研究グループが、新しいインフルエンザ治療薬の候補物質となる化合物の開発を報告したと発表した。
今回合成された化合物はインフルエンザウイルスの増殖に必要な酵素シアリダーゼの働きを阻害する。既存の抗インフルエンザ薬タミフルやリレンザも同じ阻害効果を持っており、それらと比較すると効果は同等以下であったが、タミフル耐性ウイルスの酵素にも強力な効果を持つことが分かった。このことから、タミフルの代替薬となる可能性が期待される。
(画像はニュースリリースより)
タミフルの耐性ウイルスの出現と副作用問題
既存薬タミフルは現在A型、B型インフルエンザウイルスを発症した患者に投与されているが、耐性ウイルスの存在が確認されている。
また副作用として腹痛、下痢、嘔気などが挙げられているが、小児患者を中心とした異常行動の原因にもなっているのではないかとの疑いもあり、2007年には厚生労働省が十代の未成年患者の使用制限を緊急発表している。

タミフル代替薬の候補化合物を開発
http://www.okayama-u.ac.jp/tp/release/release_id161.htmlInfluenza neuraminidase operates via a nucleophilic mechanism and can be targeted by covalent inhibitors
http://www.nature.com/ncomms/journal/v4/n2/