冠動脈疾患治療の新たな治療器機へ取り組み
2014年3月14日、テルモ株式会社は、生体吸収性ステントを開発するフランスのArterial Remodeling Technologies社(ART社)の独占買収権取得および薬剤溶出型生体吸収性ステントの共同開発、ART社への段階的な投資に関する契約を締結したことを発表した。
心臓の冠動脈が狭くなる狭心症や心筋梗塞では、筒状の埋め込み型治療器機であるステントを用いて、閉塞した血管を拡げる治療が行われる。最近では、ステント留置後の血管の再狭窄を抑制するため、金属製のステントに薬剤を塗布した薬剤溶出型ステントが多く使用されている。
さらに新たな治療法として、体内で分解・吸収される生体吸収性ステントが開発されており、このステントは金属製ステントのように体内に残らないため、血栓症を低減させ、抗血栓薬の投与期間を短縮させることが期待されている。
テルモの今後の狙い
冠動脈疾患領域においては、テルモは金属製薬剤溶出型ステントである「ノボリ」を欧州や日本で販売しており、また後継品「Ultimaster」が2014年6月に発売予定。
全世界では、現在、年間約500万本以上のステントが使用されているが、2020年には650万本へ増加し、その半数以上が生体吸収性ステントになるとの報告がある。
テルモは、今後の冠動脈疾患治療において標準的に使用されることが見込まれる生体吸収性ステントに取り組むことで、金属製薬剤溶出型ステントとの両輪での成長を目指すとしている。両者をあわせたステント全体のピーク時の売り上げは約500億円を見込んでいる。

テルモ、生体吸収性ステントを開発する仏ART社の
独占買収権取得に関する契約を締結(テルモ株式会社)
http://www.terumo.co.jp/pressrelease/pdf/43.pdf