今回の発表概要
東北大学大学院医学系研究科のグループは災害急性期における出血性潰瘍のリスクファクターを明らかにしたと発表しました。従来から出血性潰瘍のリスクファクターとしては、抗血栓薬や潰瘍のサイズが明らかになっていましたが、今回の発表では避難環境が強力なリスクファクターであることを明らかにしたものです。
(画像はプレスリリースより)
今回の出血性潰瘍に関する発表内容
出血性潰瘍は吐血やタール便などの症状をきたす可能性もあり、出血量によっては致命的ともいえる救急疾患です。東北大学では宮城県内7施設にある東日本大震災発生前後と比べて出血性潰瘍の発生件数が2.2倍に増加したことから、震災後の3ヶ月間にわたって329症例の消化性潰瘍について追加解析を行いました。
東北大学はこれらの症例を出血性潰瘍をコントロールとして、出血性潰瘍のリスクファクターが何なのか多変量解析で評価しました。多変量解析とは、複数の結果変数からなる多変量データを取り扱う統計的手法で、この結果として潰瘍や抗血栓薬などに加えて避難所または民家避難の避難環境がオッズ比4.4を指し、災害急性期において強力な出血性潰瘍のリスクファクターであることが明らかになりました。
こうした出血性潰瘍が心因性によるものの場合、強度のストレスによって胃や十二指腸の深部にある血管の一時的な循環障害によって潰瘍が出来てしまい、結果としてその血管から出血が生じてしまいます。
今回の研究結果から、今後の災害医療において避難環境において強いストレスがある人に対して優先的に抗潰瘍薬を投与することで、出血性潰瘍による死亡を減少させることができるといえます。

東北大学 プレスリリース
http://www.tohoku.ac.jp/