完全な治療法がない分野に対応
化学、繊維、住宅、建材、エレクトロニクス、医薬品、医療と、幅広い事業を手がける旭化成グループの中で、製薬事業の旭化成ファーマ(本社・東京都千代田区、浅野敏雄代表取締役社長)は、開発領域を絞り込む戦略で市場に打って出ている。
同社は、数ある疾患の中から整形外科、泌尿器、中枢神経、免疫、血液・循環器に絞って新薬の研究開発を進めている。また、そうした薬は、まだ完全な治療法がない分野に対応する製品だ。
2008年は帯状疱疹治療剤「ファムビル」と世界初の遺伝子組み換え型トロンボモジュリン製剤「リコモジュリン」、2011年に世界最高水準の骨折抑制効果を持つ骨粗しょう症治療剤「テリボン」と相次いで新薬を出し、2013年には「ファムビル」の効能・効果に単純疱疹を追加する承認を得ている。
5年間で1兆円規模の長期大型投資
世界的ブランドの旭化成は、製薬・医療事業とエレクトロニクス事業を次世代に向けた成長分野と社内で位置づけ、2010年から5年間で1兆円規模の長期大型投資をグループ全体で行っている。
次の市販を目指す研究・開発も進んでおり、変形性関節症薬の「ペントサン」、骨粗しょう症薬の「ゾレドロン酸」、抗炎症薬の「AK106」といった有望な新薬が、2020年以降の承認・発売を目指している。
ただ、新薬開発には複数年に及ぶ長い研究・開発期間が必要なため、現状で安心してはいられない。さらに先に向けて、新薬の「種」を見つけ出し、「芽」へと育てていく薬理研究部門の一層の充実に取りかかっている。
特に、「骨粗しょう症」と「関節リウマチをはじめとする自己免疫疾患」の2領域に絞って薬理研究を進める予定。社外の大学、バイオベンチャーなどとも手を組み、グローバルな研究・学術機関との連携もより積極化する方針だ。

旭化成ファーマ
http://www.asahikasei-pharma.co.jp/