ドイツの科学誌のVIPに選定
京都大学の片平正人 エネルギー理工学研究所教授と古川亜矢子 日本学術振興会特別研究員らは、抗エイズウイルス活性を有するヒトのAPOBEC3G(A3G)タンパク質の酵素反応を、NMR(核磁気共鳴)法によってリアルタイムで追跡し、定量的に解析することに成功した。
(画像はプレスリリースより)
この成果は医学部、サントリー生命科学財団、セルフリーサイエンス社、横浜市立大学との共同研究にもので、ドイツ科学誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に掲載され、同誌のVery Important Paper (VIP)に選定された。
NMR装置を用いリアルタイムでモニタリング
共同研究チームはウイルスのモデルDNAとA3Gタンパク質を入れた試料管をNMR装置にセットし、DNA上の複数のシトシンで同時並行に進行する塩基変換反応を、各シトシンに由来するNMRシグナルを別個に観測することで、リアルタイムでモニタリングすることに成功した。
共同研究チームは次にA3GのDNAへの非特異的な結合と結合後のDNA上でのスライディングを考慮した反応モデルを構築し、上記で得られた実験結果の定量的な解析を行った。この結果、A3Gは下流方向にスライディングしながら到達した際より、上流方向にスライディングしながら標的シトシンに到達した際に脱アミノ化反応の酵素活性が高いことが分かった。

京都大学 プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp